コラム 第3回
試合に「楽しむ」気持ちはいらない
よく、試合前のインタビューで、
「精一杯、楽しんできます」とこたえている選手がいるが、
楽しもうとかそういういう気持ちはもっちゃいけない、
というのが私の持論だ。
「楽しんできます」と言っている時点で、
負けたときの言い訳にすぎない、と。
とりわけ、オリンピックで金メダルを本気で目指すなら、
そんなことをいっている時点で、オリンピックでは勝てないと思う。
私の教え子たちには、
「オリンピックは全然楽しくないし、めちゃくちゃ苦しいし、緊張する。
苦しい、つらいは当たり前。その先を見なければダメなんだ」
というのをよく伝えている。
オリンピックには魔物がいるとよく言われる。
どんなことが起こったとしても、それがオリンピックなんだと受け止め
オリンピックから逃げない、勝負から逃げないことが大事。
そのためには、自ら発する言葉一つひとつにも
魂を込めなければならないのだ。
勝負の世界は、苦しい、つらいをどれだけ受け入れられるかだと思う。
来年、東京オリンピックが開催されるかどうか、いまだ不透明な中、
選手のみんなは、さまざまな思いやプレッシャーを感じながら
練習に励んでいると思う。
オリンピックから逃げずに、勝負から逃げずに、
今の苦しさを受け入れ、真正面からぜひ立ち向かっていって欲しい。
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