コラム 第6回

長いものに巻かれない生き方

ニュースなどでご覧になった方もいるかもしれないが、
昨年11月に開催された講道館杯で判定をめぐる混乱があった。
検証の結果、後日、審判委員会が誤審を認め、両者優勝となることが発表された。
日本柔道の歴史上、確定した判定が覆るのは、極めて異例なことだ。

今回の判定について、私も強化委員会メンバーのひとりとして、
全柔連に激しく抗議した。
結果が間違っているのであれば、それを認め、訂正すべきであり、
前例がないからといって、この過ちを認めないのであれば、
今後の柔道界には期待できない、ということをはっきりと申し上げた。

抗議を続けることは、リスクを伴うことであることは十分に承知していた。
それでも抗議をやめなかったのは、
選手のため、今後の柔道界のため、ただそれだけだ。

選手は、コロナ禍で思うように練習ができなかった時期を乗り越え、
日本最高峰の大会であるこの日の試合のためにかけてきた。
優勝と準優勝では、その後の選手人生が大きく違ってしまう。
選手も、指導者も、それくらいの覚悟で戦っているのだ。

審判で人為的なミスが起こってしまうのは、
ある意味仕方がないことで、そこを攻める気はない。
だが、ミスが起きてしまったときに、どう対応するのかが大事であり、
全柔連には、再発防止策の早急な検討をお願いした。

たとえ反対意見が多くても、正しいことを貫く。
前例がないからといって、長いものには巻かれない。

柔道界がよりよくなるために、自分に何ができるか。
そのための発言は、今年もどんどんしていきたいと思っている。

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