コラム 第13回

外からの「刺激」をみつけることの大切さ

以前のコラムでも書いたが、私は昔から「柔道だけに特化した人間になりたくない」「いろんなことを経験したい」という気持ちが強く、現役時代からサーフィンやサッカーといったほかの競技も楽しんできた。

柔道あってのほかの競技なので、そこは勘違いしてはいけないが、ほかの競技をする一番のメリットは、自分の未熟さに気づくことができる点にあると思う。

例えば、サーフィン。
実際にやってみるまではチャラチャラした競技だな〜と思っていたが、いざやってみるとイメージとまったく違っていて、板にまったく乗れないし、海に落ちたら怖いし、サーフボードが当たったら痛いしで、始めた当初はまったくおもしろくなかった。怪我のリスクももちろんゼロではない。

でも、できないのが悔しいので「なんとか板に立ってやろう」という気持ちで海に通い続けた結果、立てたときにはめちゃくちゃうれしかったし、その頃からどんどん楽しくなり、サーフィンが好きになっていった。

何事も、努力しないとうまくならないものだなというのを改めて感じることができたし、何より、「おまえは柔道ではすごいけど、たかが柔道だよ」と打ちのめされ、自分の戒めになったのがよかった。
上には上がいる、たかが柔道だけで天狗になるな、と。

また、サーフィンやサッカーをすることで新しい人間関係が広がって、柔道とは異なる世界に触れて気分をリフレッシュできたし、そこから社会性を身につけることもできたように思う。

指導者の中には、「その競技だけやっていればよい」と考える人が多いかもしれない。
その気持ちはわからなくもないが、ほかの競技を否定して、自分の競技に通ずるものだけをよしとするのではなく、一度でもよいのでほかの競技を経験させることは、とてもよいことだと思う。
ほかの競技へのリスペクトが湧いてくると、自分の中にあるくだらないプライドに気づくことができるし、改めて自分の競技への思いを強くするきっかけにもなる。

そうした外から「刺激」を与えてくれるものが、私の場合、サーフィンやサッカーだったが、人によってその「刺激」は異なる。ある人にとっては、それが「恋愛」かもしれない。
自分にとっての「刺激」をみつけ、競技生活の中に上手に取り入れていくことが大切だと思う。

 

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