コラム 第14回

聖火への想い

3歳から柔道をはじめて、オリンピックの存在を知ったときから、聖火はとても貴いものであり、オリンピックの成功を願って聖火をつないでいく儀式があることはわかっていた。

だから、その聖火を自分の生まれた町で、聖火ランナーとしてつなげるという話をいただいたときは、「おお、俺にもついにきたか!」とものすごくうれしかった。

私がオリンピックを目指すようになってから、そして今でも、オリンピックに対する思いや価値は変わらないし、今はただ、東京オリンピックが大成功で終わることを心から祈っている。

だが、私にとって、聖火はオリンピックの成功を祈るためのものだけではない。

地元にいる親や親戚のほか、鈴木桂治に関わって応援してくれた人に、聖火ランナーとしての姿を見せられる一生に一度しかない機会であり、そんな私の姿を見てたくさんの人に喜んでもらえるのではないか。恩返しができるのではないか。今は亡き師匠たちも、天国で喜んでくれるのではないか。
むしろそっちの意味合いの方が、私にとっては大きいかもしれない。

だから、こうした状況下でも、聖火ランナーを断ろうという気持ちはいっさいない。
私を育ててくれた町、私を育ててくれた人たちがいる場所で走れることがうれしくて、楽しみでたまらない。

聖火への想いは人それぞれだと思うが、私には断る理由がないし、聖火リレー当日に向けて、今からコンディションを万全に整えておく、ただそれだけだ。

コロナ禍で先の見えない状況の中で、荒んでしまった人々の心に温かい火が灯るように。
一人ひとりの心に残るような聖火であってほしいと心から思っている。

 

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