コラム 第21回

【質問②】柔道をやってこれた、続けてこれた理由を教えてください。

メダルノムコウ読者から寄せられた質問に、鈴木桂治氏が回答します!

【読者からの質問】

私は、地元の道場で指導する45歳の指導者です。
子ども達に「先生はなぜ柔道をしているの?」とよく質問されます。
昔は哲学者のようにいろいろ喋りましたが、最近はそういう返し方をやめました。
自分自身、柔道をしたくて、やりたい事をやって楽しくて続けてこれたので、ただ「楽しいから」と答えています。
しかし、お父さんお母さん達は隣で聞いていて何かドラマを求めてきます。
私は柔道を35年続けていますが、そんなに華々しい記録はありません。負けては泣いて、それでも畳に上がってきた泥臭い柔道でした。それを恥ずかしいとは思いませんが、今のお父さんお母さんに説明するのが難しいと感じています。
鈴木先生が今まで柔道をやってこれた、続けてこれた理由をぜひ教えてください。

【回答】
なにが正解というのもないし、終わりがない。
だからこそ、自分も変わりながら柔道を続けてこれたのではないかと思う。

親が熱心で、子どもに頑張って欲しい、実績を残して欲しいと願うのはいつの時代も変わらないと思う。

ただ、今はSNSなどもあり、簡単にネットでつながったり情報を得たりすることができる時代。通っている道場での練習だけでなく、出稽古に行ったり、強豪校に練習に行ったりといったことが普通に行われるようになっている。私が子どもの頃は、そんなことはなかったが、そういった練習環境をつくりやすくなっているのだ。

今は、私たちがやってきたような、毎日ただ黙々と練習する時代でない。
子どもたちがいかに楽しく真剣に取り組めるかを考え、普段と違う人と稽古することが刺激になるのであれば、ぜひ、指導者として機会を与えてあげて欲しいと思う。

保護者が実績を求める点についても同様で、生涯柔道を求めている人、強くなる柔道を求めている人それぞれにあった指導法をハイブリッド化していけばよいと思う。

どの世界にも、どの年代にも、勝ちを求めている選手もいれば、そうじゃない選手もいる。それは、大学柔道でも同じだ。
その子がやりたい柔道を教えられるかどうか、そこで指導者としての「資質」が問われるのではないか。

「自分は長年、このやりかたでやってきた」だけでは、今は通用しない。
時代とともに、求められることに応え、自分も指導法も変えていかなければならない。
そうでないと、柔道人口がどんどん減っていってしまうだろう。

変えたくないところは変える必要はないが、脳みそをもっと柔らかくして、変えてもよいところはどんどん変えるべき。

なにが正解というのもないし、終わりがない。
だからこそ、自分も変わりながら、私は柔道を続けてこれたのではないかと思う。

 

<鈴木氏への質問を募集中です>
下記のフォームよりお送りください。
(すべての質問に回答できない場合もあることをご了承のうえ、お送りください)

コメントや感想をお待ちしています

お送りいただいたお名前、メールアドレス、内容は公開されません。
また、* が付いている欄は必須項目となります。

コンテンツ