コラム 第5回

大晦日の1分間に思いを寄せる

元旦といえば、小学校のときに通っていた道場の
「元旦稽古」がいまでも思い出される。
柔道着を着て道場に集まり、
町を流れる鬼怒川の河川敷までランニングして、
打ち込みの反復練習をしたあと、全員で記念撮影。
その後、親たちも参加して、寿司屋で新年会を開くのが恒例だった。

中学生になり、東京での寮生活が始まってからは、
年末年始、家族と一緒に過ごせるのが特別な時間になった。
親父が打った自家製そばを食べながら、
家族揃って年越しするのが楽しみだった。

そんな年末年始の過ごし方が変わったのは、
大学生になり、「日本一」を目指すようになってからだ。

大晦日の23時半をすぎると、心がうずきはじめ、
いてもたってもいられなくなり、走りにでかけるようになった。
今思うと、湧き上がるプレッシャーに打ち勝つために、
走ることで自分の気持ちを落ち着かせていたのだと思う。

走りながら除夜の鐘を聞き、23:59からの1分間で
「また勝負が始まるな」という緊張感を味わう。
そして、新年を迎えた瞬間、
「よし、今年もやってやるぞ!」という強い気持ちが湧いてくる。
その1分間で、決意がぐっと固まるのだ。
それは、年が明けてからの1分間とは似て非なるものだ。

年の瀬ぎりぎりまで練習したのだから、
年末年始はゆっくり休むという考え方もあるし、
それは人それぞれだ。

ただ、大晦日から気合いを入れて、
元旦になった瞬間から気持ちの準備ができているやつは、
やはり、秘めたる思いの強さが違う。

一年が終わるのではなく、新しい年が始まるということへの緊張感。
その緊張感とプレッシャーがあるからこそ、
「今年もやってやるぞ」という強い気持ちが湧いてくるのだ。

指導者になった今でも、除夜の鐘が鳴り、
カウントダウンが始まると、心がうずき、緊張する。

今年の大晦日は、どんな気持ちが湧き上がってくるのか。

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