コラム 第12回

「負のスパイラル」の克服法

競技をしていると、気分がのらず、思い通りの練習ができない「負のスパイラル」に陥るときが誰にでもあるだろう。
私にも、好きな柔道が嫌いになって、もうやりたくないと泣きながら練習した経験が何度もある。
突き詰めすぎて視野が狭くなってくると、そういう状態に陥りがちだ。

そこで負のスパイラルに陥ったときに、私がどう乗り越えてきたかをお伝えしたいと思う。

まず、私が学生時代までやっていた方法は、「ぶっ壊れる寸前まで、とにかく練習を続ける」ことだ。

「気分がのらないし、技もかからない。だから、今日はもう練習を休もう」という考えになってはいけない。

ひとつのことを突き詰めるためには、酸いも甘いも全部経験した方がよい。
気分がのらないときに練習を続けることが、どれほど苦痛なのかを味わわないといけない。
なぜなら、そういうときこそ、「本当にその競技が好きなのか?」「勝ちたいのか?」「強くなりたいのか?」といった自分の気持ちに向き合うことができるからだ。

「競技からちょっと離れたいな」と思った時こそが成長のチャンスと思って、とにかくやり続けること。
その期間が1週間なのか、10日間なのか、それは人それぞれだが、やり続けることで必ず光が見えてくる。

そして、どん底からの復活を何度か経験すると、自分の負のスパイラルのパターンのようなものが見えてくる。そうなったらはじめて、「やりたくないな、疲れてきたな」と思ったときに、自らさっと身を引く方法を取れるようになるのだ。

「このままいくと、気分がのらなくなりそうだ」と思ったら、思い切って1〜2日休む。
そうすることで、負のスパイラルに陥る期間が短くなり、落ちきってしまう前に止めることができるので、その分、早く復活できる。
これは、学生時代に限界まで落ちきった経験があり、これくらいやったら這い上がれるという感覚があるからこそ取れる方法で、私は、社会人になった頃から取り入れていた。

いま指導者として、技がかからなくて、納得がいかなくて、イライラしている学生を目にすると、「お〜、ついに来たな! やっと成長段階に入ってきたじゃん」と声をかけ、そのまま練習を続けさせる。

思い通りにいかず、気持ちが落ち込んでいくのをみていると、つい「休ませなければ」と思ってしまうかもしれない。しかし、負のスパイラルの先にある成長を見据えて、そこで練習をやめさせてはならない、というのが私の考えだ。

 

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