コラム 第8回

縦のつながりがあってこそ強くなれる

今の学生たちを見ていると、横のつながりがとても強い。
一方で、縦のつながりが薄れてきているのを感じる。

「同期会」とかいう飲み会をよくひらいては、
「おれたちの代は、みんなで強くなろうな」と話しているらしい。

同期で仲がよいのはよいことだが、
それだけでは強くなれないよ、というのが私の考えだ。

「自分が強くなるための肥やしになるのは、先輩や後輩である」
ということを、学生たちには機会があるごとに伝えている。

こう書くと、一見、考えが古臭いオヤジのようだが、
私は、子どもの頃から堅苦しい上下関係が大嫌いで、
先輩という理由だけで偉そうに命令されるのが本当にいやだった。
だから、中学・高校時代も、最上級生になったときには、
こまごまとした雑用や意味のないしごきなど
理由のわからない習慣や行き過ぎた伝統を改めてきた。

先輩といったって、一つの目標に向かって頑張っている仲間である。
だからこそ、先輩・後輩という枠にとらわれない人間関係を築きたいと思ってきたし、
礼儀はきちんとわきまえたうえで、違うと思ったことははっきりと伝え、
物怖じせず、遠慮をせず、こっちから飛び込んでいった。

こうした私の考えを受け入れてくれた先輩にはかわいがってもらえたし、
先輩や後輩という枠を超えて、強い信頼関係を築くことができた。
そして、そういうたくましさや図々しさが、
人間としての「強さ」にも大きく影響するのだと思う。

私の中学時代の恩師である川野一成先生は
「柔道で強くなることよりももっと大事なことがある」
「柔道が強いことと、人間として強いことは違う」
と、人間性を磨くことの大切さをいつも繰り返し言っていた。

厳しい上下関係がなくても、成立する縦のつながりがある。
そこで学ぶことは、社会に出てからも絶対にマイナスになるものではないし、
ひとりの人間として、人間性を磨くうえで、とても大切なものだと思うのだ。

 

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